ブラッド・ピット主演の映画「フューリー」を見たよ

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ファイヤフライ
※写真はファイヤフライの模型です。映画の戦車とは微妙に違います。
また、若干ネタバレあります。

しょうも無い理由で映画観てきました

映画はほとんど観ません。
年に1回観るか観ないかと言ったところでしょうか。
そんな自分が珍しく、映画を観てきました。
ブラッド・ピット主演の映画「フューリー」。

戦争映画です。
戦争映画は好きなので、それ自体は観ることが多いのですが、大体はTUTAYAでレンタルしてくるか、直接DVDなりBlu-rayなりを買ってしまいます。
その方がゆっくり繰り返し観れますからね。

しかし、今回何故映画館に足を運んだのか…

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滅多に見れないものが見れるから

この映画、第二次世界大戦の西部戦線の戦車戦を描いたものですが、滅多に見ることができない、というかこういう形では世界で初めての映像が見れるということがあって足を運んだのです。
それは、ティーガー戦車が走っているところが見れるから、というもの。

それまでの映画、たとえばプライベートライアンなどでもティーガー戦車は登場してますが、すべて簡単に言えば「偽物」、プライベートライアンの戦車はソ連製のT34/85のシャーシを利用してそれっぽい砲塔を取り付けた、それっぽいティーガーです。他の映画も似たり寄ったりだったり、そもそも似せるつもりなど全く無い状態で他戦車を「ティーガー戦車」として登場させたりとか、結構ヒドイ状態でした。

それもそのはず、全世界で形として残っているティーガーは6輌だけであり、そのうち自らのエンジンで移動できるのはたった1輌、ボーヴィントン戦車博物館に所蔵されている車輌のみで、今回、フューリーではその稼働するティーガーを使って映画が撮影されているということで、たった、その理由だけで映画を見に行きました。
実際のティーガーがそれっぽく戦闘しているシーンなんて、たまに見る過去のドイツ軍の戦争ニュースの映像ぐらいのもので、実際の戦闘っぽい場面でティーガーの稼働が見れるのはまたとないチャンスと思ったからです。
もはや、映画がどうこうっていう感じでは無く、本物のティーガーが走っている場面が見たくて映画館に足を運んだようなものです。

あっという間の出現、あっという間の退場

ティーガーに対する期待で観に行った映画ですが、その期待は軽く裏切られました。
待ちに待ったティーガーの登場は映画の後半すぐ、ブラッド・ピットたちの戦車小隊にアンブッシュ攻撃を仕掛けてくところから始まり、次々とM4戦車を屠っていくのですが、最終的に1輌残ったブラッド・ピットのM4に回り込まれ撃破されます。
時間にして10分程度。
余りにも短い登場に唖然としました。
この10分間の為に映画を観に行ったんかいと。
映画の売りとしては、本物のティーガーを使ったということがかなり全面に押し出されていたので、映画の最後の方で、プライベートライアン的に出てくるのかと思っていましたが、唐突に出現して唐突に退場した感じでした。

そういう演出なのかわかりませんが、せっかくのティーガーは直線的な動きしかしません。
砲塔は旋回しますが、車体は前後に動くのみです。
おそらくヴォーヴィントン戦車博物館側が、激しい機動に対しての許可を出さなかったんでしょうね。

ただ、それが演出かなと思える描写もあることはあります。
まず、ティーガーは発見されていない完全なアンブッシュ状態から攻撃を仕掛けてくるのですが、4輌縦列で移動している小隊の3輌目を攻撃するということをしてきます。
普通であれば、縦列の先頭車両を狙ってくるはずです。
道路を直進している戦車縦隊は先頭車両を叩かれると、小隊全体が詰まってしまい機動が著しく制限されるからです。
まずは先頭、次に最後尾の戦車を狙うのがセオリーです。
そのセオリーを守らないところをみると、あのティーガーの戦車長はあまり戦闘慣れしてないような印象を受けます。
しかも、このティーガー砲弾を外しまくるのですが、距離は1000m以内ならほぼ100%(戦闘状態では無いけれど)という報告からは思えないほど命中率が悪いティーガーでした。
あと、回り込まれそうになっている時にも砲塔を旋回させて対処しようとしているのですが、ティーガーの砲塔旋回速度は非常に遅く、近距離を移動するM4の機動に着いていけないのはわかりきったことなので、その場で超信扡旋回(戦車をその場でぐるりと回転させる)させて常に正面装甲を相手側に向けるように旋回しないといけないわけで、それをやっていないということは、このティーガー戦車の戦車長はベテランではないという印象を受けました。

だから、前後に動くばかりだったし、すぐにやられてしまったと言うことにもなっとくできます。
しかし、単独でティーガーが行動しているということも不可解ですし、周りに連携した随伴歩兵がいなかったのも不思議でなりませんでした。
もしかしたら、博物館側からいろいろと制約をだされていたのかもしれないですね。

しかし、登場時間が余りにも短かったのには驚きました。
ここがクライマックスだとばかり思っていたから…

映画自体はどうか

ティーガーの話ばかりになってしまいましたが、映画はどうだったかというと、一言でいうと「戦争を撮影したいが為の映画だったな」というのが正直な感想です。
監督が、おそらく最も訴えかけたかったこと、「戦争とは残酷なものである」というのはよくわかったのですが、もう少し、うまい演出はなかったものかと思えてしまいました。
登場人物の生い立ちなどが語られることは無く、そのため非常にドラマの部分には感情移入しにくくなっています。
それが監督の意図だったのかもしれません。どんな環境で育った人間であろうろ、戦争の前には等しく無力で有り、その中でいかに自分に課されたことをなし得るか、過去に価値があるのでは無く、現在に行うことに価値があるのである、という意味合いにおいては、監督の見せたかったことは成功していると思います。
だから、その部分を理解できた人には、戦争というものをあくまでファインダー全開に撮影していく監督の意図が伝わると思うんですが、その部分が理解できなかった人にとっては人間ドラマとしてもテイストがどうしても薄いため、「つまらない」映画になってしまう恐れがあるのではないでしょうか。
ティーガーのことなんか知らない人は、この映画観ても、「おお!」とは思わないと思うんですよね。
登場人物を書き切れていない、それがある種の人に対するこの映画のハードルを上げているのだと思います。
もう少し人物描写が描けていたら、何故ブラッド・ピットがドイツ軍を毛嫌いしているのか、新米戦車兵がどう成長していったのかという部分が見えてきて、それだけでもドラマ性を生んだのではないかと思うと、何故かオシイと感じてしまいます。
もちろん、そこに力を入れすぎると、ただの感動だけの映画になってしまい、普通の戦争映画であり、おそらく「戦争とはむごいものだ」という監督の意図が伝わりにくくなってしまうために、起きていることは起きていること、それは、どんな身の上の人にも平等に降りかかるという信念を捨て去ることになり、監督としてはそれに対して納得がいかなかったのではないかと思っています。
この映画の監督は、元軍人という異色の経歴ですし。
(もちろん、人の背景描写を試みている場面も無いことも無いんですが、それほど深く追ってないです)

この手の感じ、フルメタルジャケットとかハンバーガーヒルに近いスタンスで描かれてますね。
あまり、人間の過去には踏み込まず、いかに現状の状況に身をゆだねて、日々を生きるか、と言うことに主眼が置かれた戦場映画であり、それほどお涙頂戴物的には描かれておりません。
そういう意味では、監督の演出は成功だったんではないでしょうか。

この映画をオススメできる人

  • 戦争映画なら何でも観るという人
  • ブラッド・ピットが好きな人
  • 世界でたった1輌のティーガーが走っているところが観たい人
  • フルメタルジャケット的戦争映画の分かる人

です。
それ以外の人がみると、おそらく「??」ってなることが多いので、決して万人受けしない映画だと思うんですが、上記に当てはまる人は観ても損はないと思いますよ。

この映画について、ちょっとまだ語りたいことがあるので、あと2本ほどこの映画に関して記事でも書こうと思っています。

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