「Yahooショッピングの無料化」と「楽天の二重価格問題」について


楽天

eコマース分野の衝撃

最近、eコマース分野で、大きな事件が2つありました。
それが、
「Yahooショッピングの無料化」と「楽天の二重価格問題」です。
特にYahooのインパクトは大きく、あらゆるものがフリー状態。

  • 初期費用
  • 出店料
  • ロイヤリティ(売り上げにかかる上納金ね)

これらが一切無料になって、しかも他サイトへの誘導についても特に規制を設けないという、フリーさに関しては楽天の真逆の方向性です。
楽天は、初期費用・出店料・ロイヤリティはプランによってまちまちですが、基本的にはかかりますし、勝手に外部サイトへ誘導リンクを張るのも禁止です。

つまり、Yahooはいろんな意味で完全フリー状態というわけです。

そうなると気になることとしては、どこからお金を取るかという問題です。
つまり、Yahoo側にかかるコストをいかに回収するかです。
広告を出すことによってある程度の収入が得られるでしょう、しかし、このあたり楽天も苦労しているようで、いろいろなイベントを開催したり、狭いカテゴリの広告を販売したり(もちろんそれに伴うイベントも開催)したりしてがんばっているようです。
(月一で開催される、何とかセールとか、何とかマラソンとか……)

いろいろな手段で集金している楽天ですらあれやこれやしているのに、完全フリーではどうやってYahooは運営するつもりなんだろうと気になるところです。

ショッピングサイト運営にはコストがかかる?

コストと言っても、出店している店舗のコストではありません。あくまでショッピングモールを謳っている、運営母体のコストの話です。

今回、楽天では二重価格問題が起きました。
最初、三木谷社長は、「店舗が無審査で起こした勝手セールで起きたもの」と説明していましたが、その後の説明で、「一部の店舗ではきちんとした楽天側の審査を通過していた」ことが判明しました。
つまり、楽天がそれなりにコストを掛けた結果起きた事象であり、ある程度コストを掛けていても完全に審査しきれないと言うことが浮き彫りになった事象かと思います。

この手の審査は、どうしても機械的に(コンピュータで)処理することが難しく、ほとんどが人海戦術のはずです。
人が目でチェックせざるを得ず、どうしたってコストがかかります。
しかも、何らかのイベントがあれば、集中的な審査が発生し、これまたとんでもないコストになっているはず。

これはあくまで、何らかのイベントが発生したときの審査の話です。(楽天では大きなイベントの他にも、細々としたイベントが常時走っているので、審査している人たちはそれなりの数の審査をコンスタントにこなしていると思われます)

先ほど、楽天のWebページを見たところ「契約企業数:133,164 商品数:150,988,587点」なんていう数字が書かれていました。

おそらく、この企業やら、商品やらは、何らかのイベントが発生して、その対象商品になるまではほぼノーチェックと思われます。(もちろん定期的な抜き打ち検査のようなものはあるでしょうが、すべてに目を光らせていたらどれだけお金があっても足りません。ある程度は、見過ごされていると思います。勝手な憶測ですが)

何らかの審査が必要というのは、全くもってフリーのYahooも同じなはずです、そのとき、商品の審査を行うコストをどこからどうやって捻出するつもりなんでしょうか。
ココ非常に気になります。

案外わかってもらえないショッピングモールという概念

Yahooの方法論の1つに、「ショッピングモールだから各店舗のことなんか知らないもーん」という言い逃れ?があるかと思います。
これ、物理的なショッピングモールだと通用する手です。
仮に、三井アウトレットパークに行って、A店舗で買い物したところ、不良品に当たってしまった。
そうしたら普通の考えではA店舗にクレーム付けますよね。
これが、ネット上のショッピングモールだと通用しない。
楽天だと、「楽天というブランドを信じて購入をしたのだから、楽天が何とかしろ」みたいなことになっちゃう。各店舗で購入している、楽天はあくまでショッピングモールなんです。っていう概念がなかなか一般の消費者には浸透していない。

自分も、初めて楽天使ったときにはこの概念がなく、全商品は楽天から一括配送されるとばかり思ってました。

で、実際買い物してみて、別々の店舗から荷物が届いて、間違いに気づいたわけですが、ここのところを理解していない人はかなり多いと思います。

マスコミも理解しているのかしていないのか、二重価格問題の時にはしきりに「楽天が~」と報道してましたが、アウトレットで考えてみると、「楽天」に大きな責任を押しつけるのはちょっと筋違いのような気がするんですよね。

と、まぁ、ネット上でのショッピングモールという概念がそれほど浸透していないので、当然Yahooに出店している店舗が何かやらかせば、Yahooは「自分たちには関係ありません。だって、無料で出店できるんだもん」って何処まで強気に出れるかですよね。
ここで引いてしまうと、カスタマーサポートのコストと、さらなる審査コストの増大でとてもじゃないけれどフリーでの出店を実現することは不可能になります。
もちろんここも見越していろいろな策を講じているとは思うんですが、今のところそれが見えないので、
「大丈夫なのか?」という気持ちが半分
「すげー興味ある」という気持ちが半分です。

今回のYahooのフリー化に対して、楽天は当初、「うちには店舗に対するきめ細かい支援があるので、無料はちょっと…」みたいなこと言ってましたが、二重価格を見逃してしまう程度のバックではちょっと説得力がないですよね。

Yahooが成功するか否かで、eコマース界隈のあり方ががらりと変わると思われるので、このYahooの動きからは目が離せないですね。

※実は審査って、出している商品に対する審査だけではなく、店舗が怪しい店舗じゃないかどうかみたいな、店舗に対する審査もあったりするので、審査コストってはっきり言って馬鹿にできないと思うんですよね…黒い企業が出店していたとか、最初はホワイトな企業だったけど、いつの間にか名義が書き換えられていてブラックな人たちに乗っ取られていて、何かしらの資金源になっていたとかになったら洒落にならんわけです…

※二重価格の会見の時に三木谷シャチョーも言ってましたが「店舗性善説」だけではやっていけないわけであります。はい。