TUTAYAで借りてきました。なになら感動するとう評判だったので、感動してーなーとか思って。
で、見てみたら、最初は感動できませんでした;;
何度か、最後のシーンを見ていて、ふと気づいてから、感動できるようになりました。
まぁ、大の大人が、さーて泣くぞみたいな感じで、ウィスキー飲みながら映画見るって言うのが不健全なんですけどね。
で、改めてみての感想。
最後のシーン、小学校の頃からずっと離ればなれで、手紙でしかやりとりをしていなかった、主人公とヒロインが、偶然踏切ですれ違う、しかし、お互いをお互いだとははっきり認識しているわけではない、主人公はとっさに思う、「交差点を渡りきって、自分が振り返れば、向こうも振り返るはずだ」
お互いが踏切を渡りきった時、ちょうど電車がやってきて、お互いの姿を見えなくさせる。
そして、電車が通り過ぎたとき、女の姿はなかった。
男は、最初戸惑ったように笑い、そして、何かに気づいたように笑い、何かを悟ったように笑い、踏切を後にする。
このシーン、最初にみたときには、もうこのまま二人が再開して、ハッピーエンドになるかと思った。
長い間、ヒロインのことを想い続けてきた主人公の気持ちが報われる瞬間がくるのだとばかり思っていた。
しかし、実際は違っていた。ヒロインの姿は踏切の向こうにはなく、桜の花だけが散っていた。秒速5センチメートルで。
もう、肩すかしを食らったような何ともいえない気分になり、拍子抜けだったけど、今考えてみたら、その判断は正しかったと思う。どちらかと言えば、振り向いてくれるのを期待していたのは、主人公側で、ヒロインはどちらかと言えば、振り向いてほしくなかったんじゃないかなともさえ思える。ヒロインは、ほかの男性と結婚していて、幸せな家庭を築いているだから、そのヒロインが振り向いて、主人公との再会を確実なものにすることは、できない。結婚しているからだ。そんな状況でまたであっても、絶対に二人は幸せになれない、だから、彼女は、そのまま歩き続けることを決めた。
絶望のように見えて、実は、そこには確固とした希望が存在する。今までの人生は決して無駄ではなく、かといって、その人生に縛られることもない人生がこの先も存在するのであり、我々は進んでいかなくてはならない、そのことを、あの最後のシーンは教えてくれる。
確かに、思い出は綺麗だ、それは永遠に汚れることがない、いや、どんどん美しくなる。しかし、思い出にとらわれて先に進めないとしたら、それは非常に不幸なことなのではないだろうか。だからヒロインは進んだ、だから主人公も進んだ、先に何があるか、明確にはわからないけれど、進んだ。進むこと、それ自体に、希望があると信じて。
最後、ちょっぴり絶望を感じたけれど、大きな希望も感じることができて、よい作品だったと思う。
確かに、現状は苦しいかもしれないけれど、そこには希望がないといけない、作品の良さとは、希望の総量のことだと思う。
そういう意味では、「秒速5センチメートル」は非常によい作品なんじゃないかと思った。