ビジネス書より素晴らしい
皆さん、ビジネス書とやらは読んでますか?
何がビジネス書か、というと、ビジネスパーソンを対象とした本ということになると思うのですが、成功したビジネスマンが自分がこうやって成功してきた!系のビジネス書が好きではありません。
読んで為になった試しが無い。
その人の成功体験がつらつらと書かれていて全く応用が利かないですし、ビジネスで成功してお金持っているのに、その成功体験を本にして印税で儲けるという、完全勝ち組システムというのにも疑問を感じますw
印税は全額何処かに寄付するとかすれば良いのに。
文句はこの辺にしておいて
この「不合理」という本は、人間が思わず陥ってしまう不合理を心理学的に徹底的に洗い出した本です。
心理学がそもそも科学かどうかという問題はあると思うのですが、そこについて、この本はあくまで実験に基づいた経験則、といった側面から心理学を捉えています。
一応著者は、イギリスの心理学者なのですが、その辺をわきまえて、あくまで経験則として現象を提示しているので、押しつけがましいところが無く、非常にさっぱりと現象を現象として紹介しているので高感度高いです。
こうすれば、ビジネスは成功する!とかいう、怪しげな経験則の本よりましです。
細かい事例は割愛しますが、この本には、人間が犯してしまう数々の「不合理」な判断の事例が書かれています。
人間は、「合理的」な判断ではなく、何故かわざわざ「不合理」(賢くない)判断をしてしまうこと、そして、それが何故なのか、そしてそれを防ぐにはどうしたら良いかが、淡々と書かれています。
この手の本はたまに見かけるのですが、事例がきちんと書かれていることと、推測の部分はきちんと推測である旨が書かれていること、事例が膨大なことなど、好印象な部分が多いです。
そして、さらに好印象なのが、人間は不合理な判断をしてしまうもの、という視点から書かれていることです。
「人間なんて不合理な考えしちゃって、ばっかじゃねーの!?」みたいな立場では書かれていません。
人間は、不合理な判断をしてしまう、それは何故なのだろう、そして、どうしたら少しでも不合理な判断を下さないようになるのだろうか、という人間的な視点から本が執筆されているので、とても読みやすい本となっています。
下手なビジネス書を読むくらいなら、この本を読んだ方がよっぽど良いです。
気になることが…
この本の260ページに、化石燃料と核燃料の両方のエネルギーのリスクについて書かれていることがあるのですが、そこに驚くべきことが書かれているのです…ちょっと抜粋してみます。
石炭に含まれる放射性物質の一部は、燃焼の祭に大気中に放出される。さらに重大な問題は、高濃度の放射性物質を含む石炭の灰が地表に堆積することだ。現在のペースで放射性物質が地下水や大気に流入し続けると、最終的に4千万人が命を落とすと言われている。
しかも、化石燃料を燃焼させるのは、原子力エネルギーを利用するのと比べて、10~100倍の死亡事故を引き起こしている。とまで書いてある…
これって何処まで本当なんでしょう。
化石燃料(ここでは石炭ってなってますね)を燃焼させると放射能がでて、その放射能で死者が出るって…
本の中では石炭って言ってますが、石油だとどうなんでしょう。
そうなると、合理的に考えたら原子力発電の方が全体としては安全で、化石燃料を燃焼させる方がじわじわ我々の身体を蝕んでるっていうことになると考えると、ちょっと怖い気がします。
っていうか、何が正しいのか、ほんとよーわからんです。
さすがにこの部分にはショックを受けました。
これだけ読んで、今すぐ原子力に戻せ!と言うつもりはないけれど、トータルに見て、どっちの方が将来的に合理的なのか、もう一度よくよく考えてみる必要があるのでは無いか、感情論抜きで、そう思いました。