「Zero Dark Thirty」を見ての疑問点あれこれ

Zero Dark Thirty

Zero Dark Thirtyを見ましたが…

電動ガンの「DEVGRUカスタム HK416D」を買ったので、この電動ガンの参考になった銃が登場するという「Zero Dark Thirty」を見てみました。

Amazonでコレクターズエディションなのに2500円という安さだったので、思わず即買い。

コレクターズエディションとか、前は平気で5000円とかしてましたが、最近は安いですね。

肝心のDEVGRUカスタム HK416Dが登場する場面はそれほど多くは無く、ひたすらCIA女性分析官のビンラディン追跡に重点が置かれていますが、この映画見ていて気になったことがちらほらあったので、メモがてら。

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バックアップのヘリコプターが違う

ビンラディンの隠れ家を、SEALsが強襲するときにステルス仕様に改造されたブラックホークが1機墜落してしまうのですが、そのバックアップに駆けつけたヘリコプターが、映画だとステルス仕様でないブラックホークですが、実際にはチヌークだったはず…
ブラックホークがシングルローター、チヌークはタンデムローターなので全然外見が違います。
映画ではチヌークまで用意できなかったってことなんでしょうか…

ビンラディンの隠れ家と特定されないまま作戦が進む

映画では、隠れ家がビンラディンの連絡役が住んでいるというところまで突き止めますが、ビンラディンが確実にそこにいるかは「分からない」という体で話が進みます。
SEALsが強襲するまでそこに本当にビンラディンが住んでいるか分からないという不安の中作戦が進みますが、実際は違っていたようです。
他国が作成したドキュメンタリーを見ましたが、無人偵察機が建物付近(中なのか外なのかは不明)を歩く1人の人物を撮影しており、その人物の影の長さから背丈を推定、ビンラディンの背丈にかなり近い値が出たためにビンラディンである可能性が高いとわかったとありました。
それが決めてとなり作戦が進むのですが、この映画ではこのエピソードが端折られています。

映画にする時点ではその事実がわからなかったのか、知っていて、緊張感を演出するためにあえて除外したのかは分かりません。

作戦決行までの流れがほとんど描かれていない

ビンラディンがいるであろうという解釈の元、強襲作戦が開始されますが、その決行までには、CIA長官から大統領・統合特殊作戦コマンドの司令官への説明などなどいろいろな部署への調整が入るはずですが、それらが一切描かれておらず、CIA長官への説明のみとなっています。
映画の長さを考えればこの辺はカットせざるを得ないのかもしれませんが、この映画だけ見ると、CIAがSEALsを動かしたように見えてしまい、指揮命令系統がおかしなことになってしまっています。

そして、作戦決行までの間SEALsは建物の精巧な実物大の模型を作成し、何度も予行演習を繰り返すはずですが、これもその部分は全く描かれておらず、あたかも、ビンラディンの存在も不確定の一発勝負的な賭けとして描かれてしまっており、何か変な印象を得ます。

大統領の気配が全くない

これほどの作戦であれば、ホワイトハウスが絡んでくるのが当然なのですが、そこもこの映画では全く描かれておりません。
全く無視されています。

この作戦でよく話題になるエピソードとして、ホワイトハウスが作戦をリアルタイムで監視していたというものがありますが、それすらこの映画では描かれていません。

政治臭を映画から排除する狙いがあるかと思われるのですが、事実と異なっており、これにも違和感を覚えました。

まぁ、映画の尺もあるし、いろんな重要人物を出すと女性CIA分析官の存在感がぼやけてしまうという映画的な理由もあるのかもしれないですね。

それほど機密が保持されていない

これは結構驚いたのですが、女性CIA分析官が、隠れ家にビンラディンが住んでいると確信してからというもの、女性CIA分析官は、CIAのオフィスでそのことをでっかい声で叫んだりしていて、全く機密保持の観点がありません。
もしかしたらこれが事実だったのかもしれないのですが、これほどの重要な事項であれば本当に知っているのは上層部の一握りのみだったはず。
映画的演出、女性CIA分析官の心の葛藤を演出する1つの方法なのだとは思うのですが、ちょっとやり過ぎ感が…

この映画はオススメできるか

エンターテイメントとしてはオススメできます。
特に最後の強襲シーンは、この手の話が好きな人は見ておいても良いかと思います。
が、「これ本当なの?」って思えるような場面が多く、「リアルストーリー」として見るのは危険かもしれません。

もちろん、ビンラディンを強襲した事実事態が未だに機密の類いにあたるので、かなりの部分を「関係者」情報で補完していったのだと思いますが、それにしても不自然な部分が多く、まだまだこの史実を正確に描写する情報が限られているのだなぁと感じました。

あ、強襲シーンはかなりリアルだったと思いますよ。
実際元SEALsの隊員がアドバイザリーとして加わっているくらいなので。
そのシーンは必見かもなぁ。

ちょっと違うけれど…

CIAの上司役でマーク・ストロングが出ているのだけれど、マーク・ストロングは諜報機関系の役柄がおおいですね~
そして渋い。
ディカプリオが出ていた「ワールド・オブ・ライズ」でもヨルダンの諜報機関の長官役でしたし、「シリアナ」でも諜報機関の工作員の役柄でしたしね。
諜報機関顔なんでしょうか。

ちなみに、「ワールド・オブ・ライズ」の時のマーク・ストロングは「拷問は無意味だ」と冷ややかに言ってのけるのですが、「Zero Dark Thirty」ではCIAはアラブ人を拷問しまくっているし、「殺害する目標を早く見つけてこい」的なことを言うなど、諜報機関としてのスタンスがまるっきり変わっていて面白かったです。
本人にはどうしようも無いことですけれど…w